採用活動を7つのステップに分け、それぞれ知っておいてほしい法律知識を纏めてみました。
Step1-2.計画策定・募集条件決定のポイント
・どんな人を採用するのか
(必要部門・担当業務、求めるスキル・経験、必要な資格、求める人物像)
・どうやって探して、どれくらい採用予算をかけられるのか
(求人媒体の利用、自社広報就職、イベントへ参加など)
・どんな条件で採用するのか
(所属部門・職位・職務内容、就労条件、雇用形態など)
Step3.採用募集のポイント
基本原則=「採用の自由」ですが…採用される側の保護の観点から、様々な制限が設けられています。
- 性別による差別の禁止(男女雇用機会均等法)
例)募集・採用の対象から男女いずれかを排除、・募集・採用の条件を男女で異なる取扱い等 - 間接差別の原則禁止(男女雇用機会均等法)
例)募集・採用にあたって、身長・体重・体力の基準を要件とすること等 - 年齢制限の原則禁止(雇用対策法)
例)○歳まで等
※例外的に年齢を制限できる場合もあります
– 定年を上限とし、定年未満の者は無期契約として募集・採用
– 労基法等の法令の規定で年齢が制限されている場合
– 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から若年者等を無期契約として募集・採用
– 技能・ノウハウ継承の観点から、特定職種において特定年齢層に限り無期契約として募集・採用等
Step4.採用選考のポイント
採用選考は応募者の適性、求人職種の職務を遂行できる能力を持っているか、持ち得るかを判断の基準とするのが原則です。
適性・能力と関係ないことを採用条件としないことが重要です。
- 本人に責任のない事項の把握
(本籍・出生地、家族状況、住宅状況、生活環境・家庭環境など) - 本来自由であるべき事項の把握
(宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合の加入状況・活動歴、学生運動など社会運動、購読新聞・雑誌・愛読書など) - 身元調査などの実施、必要性が認められない健康診断
Step5.採用内定のポイント
内定は「始期付解約権留保付雇用契約の締結」となり、内定取消しは合理的な理由なくできません。
- 卒業できない、必要な免許・資格等が取得できないなど採用の前提となる条件が未達成
- 採用内定日に比して健康状態が悪化し、勤務に堪えられない状態
- 履歴書等の提出書類の記載事項に虚偽が判明
- 採用選考に際し、履歴を偽り、不実の陳述をし、または不正を働いたことが判明
- 採用内定後の犯罪、反社会的行為または社会的な信用を失墜する行為
- 採用内定時には予想できなかった会社の経営環境の悪化、または事業運営の見直し等
Step6.入社時のポイント
入社時に必要となる主な手続と書類は下記の4つです。
① 労働契約の締結
② 入社時誓約書などの署名・提出
③ 社会保険・労働保険の加入
④ (状況によって)適用事業報告、就業規則、36協定の締結・届出 その他
以下、詳しく説明したいと思います。
① 労働契約の締結について
従業員を雇い入れるとき、労働条件について書面の交付等により明示しなければなりません。
パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れる場合:昇給の有無、賞与の有無、退職手当の有無、雇用管理改善等に関する相談窓口も書面の交付により明示する必要があります。
② 入社時誓約書について
法令上の作成義務はありませんが、社員が会社に対して誓約・約束した事項を残すことが重要です。
・秘密保持義務
・競業避止義務
・引き抜き行為等の禁止の確認
・就業規則等の規程、雇用契約書、業務命令等の遵守
・損害賠償義務
・その他特に重要な合意内容(著作権・職務発明の扱いなど)
③ 社会保険・労働保険の加入について
④ 就業規則、36協定の締結・届出について
就業規則
常時10人以上の労働者を使用している事業場では就業規則を作成しなければなりません。
作成した就業規則は過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数代表者の意見を聴き、所轄労働基準監督署に届け出、労働者に周知する必要があります。
36協定
法定労働時間を超えて時間外労働をさせ、または法定休日に労働させる場合は、あらかじめ労使協定(36協定)を締結し、所轄労働基準監督署に届け出なければなりません。
Step7.試用期間のルールについて
試用期間中は、本採用後と比べて会社側の裁量が広く認められますが、だからといっていつでも自由に解雇できるわけではありません。
試用期間満了まで放置するのではなく、面談等により本人に指摘・指導を行い、改善の機会を与え、それでも改善しなかったということが客観的に分かるよう記録することが重要です。
- 採用選考時に応募者の適性・能力と関係ないことを把握しない
- 内定取消しは合理的な理由なくできない
- 入社時は、労働条件を書面等で明示する
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